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2018/09/02

憑依友達

お久しぶりです。
またエネルギーが溜まったので更新です。
少しでも楽しんでもらえたら何よりです。

「はぁ……やっぱり憑依について語れる女性なんてそうそういないよなあ。」

昼休み。
片岡信二(かたおかしんじ)は会社のデスクに片肘を付きながらぼやくようにつぶやいた。
スマホを持った手には投稿がずらりと並んだSNSの画面が表示されており、
憑依TSFやゲームの話題などで人々が花を咲かせていた。
気になる投稿を見つけると、すぐさま自分も話題に加わり相手と交流を深めていく。
こうして名前も顔も知らない人たちと、いささか表には出しにくい趣向への思いを綴ることが彼の趣味のひとつとなっていた。
だが、最近はそれもマンネリになりつつあった。
ほとんど語り尽くした話題。キャラ追加があるたびに一斉に投稿されるソシャゲのガチャ画像。
代わり映えしないタイムラインに信二は愛想を尽かしそうになる自分がいることに気付いた。
何か、新たな刺激がほしい。
退屈さから出たほんの小さなぼやきだった。こんなに広い世界なのだから、憑依について語れる女性もいるのではないか。そう思いつつも彼はそんな理想の人物と知り合うことができずにいた。

「ただでさえ褒められた性癖じゃないしなあ……」

タイムラインにも(真偽の程は別として)ほんのわずかだが女性もいる。
だが自分から絡みにいく勇気はなかった。
分をわきまえずにメッセージを送った挙句、ブロックされるという目も当てられない結果になりかねないからだ。
そして彼はなにより、面と向かって話せる相手が欲しかったのだ。

「はぁ……」

大きくため息をつきながらおもむろにスマホ画面に指を滑らせると、なんとなしにSNS上につぶやいた。

『憑依が好きな女友達が欲しい。』

つぶやいたからといって何かが変わるわけではない。ただ自分の胸中を垂れ流したかっただけのことだ。
もうすぐ昼休みも終わるため、スマホをポケットにしまおうとしたその瞬間だった。

「ひぐっ!」

斜め前のデスクに座っていた石原綾乃(いしはらあやの)がしゃっくりのような声を上げた。スマホに向けていた顔を上げると、綾乃がこちらの方を見てニンマリと笑っていた。

(な、なんだ?)

信二と綾乃は特段親しいというわけではなく、会話をするにしてもほとんど仕事絡みのことだ。そんな彼女が自分に向かって意味ありげな笑みを浮かべている理由が分からなかった。
だが、すぐに疑問は衝撃へと変わった。
彼女はこちらに視線を向けたまま、ゆっくりと両手を持ち上げるとブラウスを盛り上げる胸をぐにっと鷲掴みにした。

「ぁん……」

小さな喘ぎ声が聞こえた気がした。
思わず胸が高鳴り彼女に釘付けになってしまう。一体どうしたというのだろうか。人前でこんなことをするような女性ではなかったはずなのに。

「おっほ、この女の胸結構気持ちいいな。さてはオナニー好きだな?ちょっと揉んだだけで心地いい刺激だぜ。」

それどころか他人事のように自分の身体の品評する彼女に信二はますます困惑した。一瞬、ある言葉が浮かぶが即座にそんな考えは破却する。
そんなことがあり得るはずがない。
あれは、あくまでもフィクションなのだから。

「おいおい、せっかくお前の願いを叶えてやろうとしてるのにダンマリかよ。それはさすがに冷たくないか?」

「え……?」

綾乃が男口調ではっきりとこちらに話しかけて来たことに驚き、思考が停止する。

「い、石原さん、何を言ってるんだ?」

「はぁ?なんだよ、お前はこっち側の人間だと思ってたのに存外勘が鈍いなあ。そりゃいきなりのことだからびっくりしてるだろうけどさ、頭のなかではこの女、いま石原と言ったか?こいつのカラダに何が起こったのかくらいは分かるだろう?それともよくある創作みたいに宣言してやらなきゃだめか?ま、俺はそういうのもイケるクチだけどさ。」

信二の心臓の鼓動がうるさいくらいに早くなる。
何度も読んだり妄想したことだ。当然目の前で何が起こったかの答え合わせの用意はできている。だが、こんなことがあっていいのか。夢のなかでしか体験することができなかったことを、現実で味わってしまっていいのか。もしかして自分は今実際に夢のなかにいて、目覚める寸前まで来ているのではないか。
夢というものは大抵、自分が望むものを手に入れる直前に、醒めてしまうものなのだから。

「……もし、僕が思っていることの通りなら」

いつ醒めてしまってもおかしくないこの夢を惜しみながら、言葉を区切る。

「僕の目の前ではっきりと突きつけて欲しい。」

最後は声を震わせながら彼女を試す言葉を告げた。
綾乃はわずかに驚いたように目を見開くと、ニヤリと口角をつり上げた。

「なんだ、やっぱりお前も“分かってる”じゃねえか。」

周りが見ていないことを再度確認すると、立ち上がって前かがみになる。
そして重力によって存在感が強調された両胸をおもちゃのように弄くり回しながら嬉しそうに宣言した。

「ねえ、そこの男の人。見て?この胸柔らかそうでしょう?ふふ、こうして揉んでいると背中がゾクゾクするの。はぁ、やっぱり女のカラダって最高よね。どこを触っても気持ちいいんだもの。ほんと、これだから憑依はクセになるんだ。そう思わないか?お仲間さん」

うっとりとした表情から急に色を変え、興奮した男のような粗暴な笑みを浮かべる。彼女が浮かべたことのなかったその表情に信二は下半身に血が集中していくのが分かった。

「まさか、本当にこんなことが……」

「ふふ、そうよ。私のカラダは今スケベな幽霊に乗っ取られてるの。望んだんでしょ?憑依のことを話せる女性を。だからほら、私が“なってあげる”。あなたの望んだ通りの女性にね。」

「は、はは、すごい。こんなことってあるのか。夢じゃないよな?」

「夢かどうか、試してみる?」

不敵な笑みを浮かべたまま信二のデスクまで回り込むとそのまま胸を信二の顔に押し付けた。

「もがっ!?」

柔らかな感触と微かな甘い香りが信二を包み込む。

「ふふっ、どう?気持ちいい?こんなこと、彼女でもなかなかしてくれないと思うんだけど。」

ふにふにと押し付けられた胸が潰れては膨らんでを繰り返す。本人もその感触と光景を楽しんでいるようだった。

「わ、分かった!もう信じるから!周りに見られる前に放してくれ。」

「あら、私は別に見られてもいいんだけどね。自分のカラダじゃないし。」

「勝手なことを……それと、石原さんは俺に対しては敬語なんだ。なんというか、タメ口で話されると少しむず痒ゆい。」

別に嫌ではないことは伏せておく。
なんというか、このままだと彼女に今までと同じように接することができなくなる気がしたからだ。
もう時すでに遅しかも知れないけれども。

「あ、もしかしてこの女はお前の後輩か?やけに大人びてるから同い年以上かと思ってたが。でも別にいいだろ?普段とは違う側面が見れたんだから。」

「お前は乗っ取った女性の記憶は読めないのか?」

「読めるぞ。ただ最初はあえて読まないのが"通"ってもんだろ?ほら、大事なのはギャップさ。現にお前も内心興奮したろ?ええ?」

「ま、まあな……」

薄々感づいてはいたがどうやら綾乃を乗っ取った男はかなり憑依性癖を拗らせているらしい。ここまで自分のツボを突いてくるとは。
正直に言って股間の怒張を抑えられなくなりつつある。

「で、本題なんだけどさ。さっきも言ったけど憑依の話を女としたいんだろ?その夢、俺が叶えてやるよ。」

「質問を返すようで悪いがなんで見ず知らずのお前が俺にそんなことをしてくれるんだ?」

「まあ、同じ性癖の持ち主のよしみだと思ってくれ。死んでから俺も退屈でな。生前から夢みてた憑依ができるようになったはいいものの、1人で楽しむには限界あってよ、刺激を求めてお前みたいなやつにいい思いをさせてやってるわけよ。ギブアンドテイクってやつさ。」

どうやらこいつは憑依能力を得た生者ではなく、死後なんらか理由で成仏できずにこの世に留まっているようだ。
もしかしたら悪魔の類なのではないかと少し恐怖心を抱く。

「お前は、悪霊か何かなのか?」

「うーん、どうなんだろうな。やってることはそこそこ外道だし人によってそういう存在なのかも知れん。だけどよ、お前に害意はないと神に誓って言うぜ?安心しろよ、これでももう俺は十分に対価を得てるのさ。お前らの反応という名の対価をな。」

まあ、怖いなら他をあたるがと綾乃は添えた。
信二は少しだけ考えてから顔を上げた。

「いや、またとないチャンスだ。お前を信じよう。」

本当なら考えるまでもなかったのかも知れない。フィクションの中でしか存在しない現象が目の前に降りかかったのだ。この機会を逃したら後悔してもしきれない。得られるものを考えれば例え魂を売ることになったとしても安いものだと信二は考えた。

「ひひっ、あなたってどうしようもない人なんですね、片岡さん。」

今度は記憶を読み取ったのかいつもの口調で綾乃は笑った。
しかしその笑みはいつも優しい微笑ではなく、欲望と悪巧みに塗れたものだった。

「で、具体的には何をするんだ?お前が石原さんに憑いたまま話をするのか?」

午後の業務が始まってからしばらくして、ふたりは頃合いを見て会議室に入った。
まさかこうして2人きりになるとは信二は思っても見なかったが。

「そんなんでお前は満足できるのか?求めてるのは憑依に理解のある女なんだろ?」

「そりゃそうだけどお前が憑依してなけりゃこんな風に2人きりで会話すらできないんだぞ。」

それを聞いた綾乃が艶やかな髪を手で払いながら得意げな笑みを見せた。

「それができるんだよなあ。くくっ、お前は本当に運がいいぜ。」

「どう言う意味だ?お前の能力に秘密があるのか?」

「ああ、端的に言うとな。この女をカスタマイズできるのさ。お前の望み通りの趣向や性格にな。」

カスタマイズという言葉に信二は思わず胸を躍らせた。憑依創作にも少なからず登場する描写、いわゆるマインドコントロールや汚染の類を指すものだ。

「嘘だろ?そんなことまでできるのか。」

「できるんだよこれが。言ったろ?そこそこ外道なこともしてきたって。この力を使って人生が180度変わってしまった女が山ほどいる。まあ、どいつも最後は幸せそうな顔してたけどな。俺が仕向けたことだが。」

悪びれもせず憑依霊は綾乃の喉を転がしてくつくつと笑った。
こうして見ると綾乃本人が悪女になったようで信二はえも言えない興奮に襲われた。
いや、その気になれば彼女を本当に悪女に作り変えることができるのか。

「なんだか目が回りそうだ。」

「すぐに慣れるさ。俺ももう罪悪感なんてカケラも覚えねえからな。で、どうするよ。この石原綾乃をどんな女にカスタマイズしたい?憑依を脳に刻み付けるのは前提として、こいつは水泳やらファッションが好きで、オタク趣味は一切ないようだから2次元の沼に引きずりこむか?アウトドア派をインドア派に変えるような、そういう刷り込みが大好きなんだよ俺は。」

「い、いざ聞かれるとどうすればいいか分からなくなってきた……こんなこと今までなかったからな。」

「ならお任せってことでいいか?まあ大丈夫だろ。所詮同じ穴の貉なんだから好みは合うさ。それじゃさっそくやるか。どんな風に変わるかお楽しみってやつだ。」

そう言って綾乃はブラウスのボタンをぷちぷちと外し始めた。徐々に露わになる谷間に信二は思わず目を見開いてしまう。

「お、おい!?何してるんだよ!?ここは職場だぞ!?」

「え、見たくないんですか?私の胸。せっかくこの綺麗なおっぱいを見せてあげようと思ったのに。」

襟をチラチラと捲ると淡いピンク色のブラジャーが見え隠れする。

「せ、せめてトイレかどこかで……というか本当になんのつもりなんだ?」

「なんのって、オナニーしてイクんですよ?イッた瞬間に脳を書き換えるんです。ふふ、素敵でしょう?」

「え!?ま、マジかよ……」

正直に言って胸がときめいて仕方ない。
この憑依霊、そんなことまでできるのかと信二は感心せざるを得なかった。

「まあ、見ててください片岡さん。すぐに違う女に書き換わりますから。」

ブラウスのボタンを全て外し終えると大胆に広げてみせた。
彼女の白い肌が実に眩しい。

「胸が大きい割には引き締まってますね。これも日頃のスイミングのおかげでしょうか。ふふ、私は少しだらしない身体の方が好きなんですがこれはこれで弄りがいのある肉体です。」

ブラジャーに包まれた片胸を手でたぷんと弾きながらきゅっと締まったお腹を撫でて回す。
想像以上の肉体美によく見慣れたはずの本人も嬉しそうだ。

「今から書き換えてあげるね。」

綾乃は自分の豊かな胸を見下ろしながらいやらしく微笑むとブラジャーの上から乳首を摘んだ。

「んっ!んふぅ……俺の興奮でもう勃ってらぁ……くくっ、この女のカラダが俺の意思に従ってると思うとそそるよなぁ……んっくっ!」

指に力を込めると綾乃の表情が歪んだ。
だが快感が収まるとすぐに盛ったメスのようにだらしない笑みに戻る。

「へ、へへ、下着の上からでもなかなかいい感度してやがる。女の声が、んっ!勝手に出ちまうな……ぁん……ふぁ……もうジンジンしてきたぜ」

ブラのカップの中に手を入れおっぱいほぐすように揉みながら乳首を摘み上げると綾乃の声がますます上ずったものへと変化していった。

「はっ、あうっ!あふっ!き、きもちいい……ほんといいカラダだわぁ……」

頬を上気させながら胸の感触と快感に酔いしれる綾乃。よく見るとタイトスカートの股の間からツツーッと愛液が流れ出ているのが分かった。

「片岡さん、私のいやらしい表情ちゃんと見てますか?エッチなところ、ちゃんと目に焼き付けてますか?私、気持ちよくて……んうっ!自分が自分でなくなりそうです……!はぁんっ!」

「あっ!あっ!」と肩を震わせながら悶える綾乃を見て信二の股間もまた限界まで固くなっていた。
仕事上の間柄でしかなかった彼女がこんな痴態を見せてくれるなんてまさに夢のようだ。

「あっ、あっ!あうっ!ひ、ひひっ、いい感じにカラダと心が解れてきました。快感で思考に、んはっ!空白ができて、頭の中を弄りやすく……っ!なるんです。んふぅっ!これなら……もう刷り込み始めても、あっ♪大丈夫ですね♪」

ゆっくりとブラジャーを脱ぎ捨てると豊満ながらも形の整った胸が露わになる。
どう?羨ましいでしょう?と言いたげな視線を信二に送ると両胸の上に手を添えてふにふにと優しく揉み始める。

「んっ……んっ……んはぁ、やっぱり生乳は最高だな。んっ、あったかくてきもちいい……♪そして乳首も……んはあっ!……あぁ~♪やばっ、これ、クセになるぅ」

ぷっくりと膨らんだ桜色の乳首をくにっと弄るたび、綾乃が甘い声を上げ腰を突き出しながらびくびくと身体を震わせる。
両手の中でむにゅむにゅと弄ばれる大きな膨らみに信二は釘付けになってしまう。

「あっ、あっ、あはっ!このカラダ、胸、やばっ、ああっ!あああっ♪い……くっ……!ん゛ん゛んんんんっっ!!」

突然、綾乃が首を反りながらびくん!と跳ねると、立ったまま全身を硬直させた。

「んはあっ!はぁ……はぁ……はぁ……はぁ~」

永遠のように感じられた数秒の後、余韻に浸るように綾乃は息を大きく息を吸って吐き出す。
そしてゆっくりと身体を起こすと虚ろな瞳で信二を見つめ、そしてにこりと笑う。

「胸だけでイッちゃい……ました……♪は、はは、思ったより……早く達してしまったので完全な書き換え、間に合いませんでした……でも最低限は……刷り込まれましたよぉ……♪」

だが信二はそれどころではなかった。
胸をさらけ出し、愛液を垂れ流す彼女の姿のせいで言葉がほとんど頭に入ってこない。
職場にいるにも関わらず今ここで彼女のことを犯してしまいたい。
そんな欲望が心の中で渦巻く。
それを察してか察せずしてか、再び胸を持ち上げて揺らすと小悪魔のような笑みを浮かべた。

「それじゃあとりあえず、あとはよろしくな。」

そう言うと意識を失ったのか信二の胸に倒れこんだ。

「え!?おい、待て!まさかお前、こんな状況で抜けたのか!?どうしろって言うんだよ!おい!」

天井に向かって声を上げるも会議室の中で空しく響くだけだった。
どうすればいいか分からず固まっていると、やがて綾乃が目を覚ました。

「ん……んぅ……?私、いつの間に寝ちゃって……」

顔を上げた綾乃と目が合う。
信二は額からゆっくりと冷や汗が流れ落ちるのを感じた。

「片岡さ……」

言い切る前に自分のカラダを見下ろす。
恥かしげもなく晒された胸。ぐっしょり濡れたパンツに滴り落ちる愛液。
そしてズボンの上からでも分かるほど怒張した信二の股間。
すべてがひとつの状況を指し示していた。

「あ……」

綾乃の表情が固まる。
きっと正解に限りなく近い誤解を抱いているに違いない。
信二は自分の目の前が真っ暗になっていくのを感じた。

「そっか。私、身体を乗っ取られてたんですね。」

「……え?」

絶叫が来ると思っていた信二は彼女の思わぬ反応に目を白黒させる。
彼女はこの状況を受け入れている……?

「い、石原さん、さっきまでのこと覚えてるのか?」

「いえ、何も。ただ状況を察するに私は憑依されてたんだなと思って……違いますか?」

「い、いや違わないんだが……というより憑依が何なのか知ってるのか?」

「はい、主に悪霊や幽体離脱した男の魂が女性の身体を乗っ取るシチュエーションですよね?自分でも不思議なんですが、なぜか”分かってしまう”んです。おかしいですよね、そんな作品読んだことないのに。」

彼女の言う通り、憑依というマイナージャンルを元から知っているとは思えない。
さっき絶頂したときに刷り込まれたのだ。
「憑依」という概念を。
恐ろしさに身震いすると同時に身体の奥から興奮が湧き上がってくるの感じた。

「片岡さん。」

「は、はい!」

「あの、片岡さんのせいじゃないのは分かってるんですが、その、裸を見られてしまったのは恥ずかしいのでこのことは黙っててもらえますか……?」

顔を真っ赤にして懇願する綾乃。
憑依という現象は受け入れても羞恥心は正常に働いているようだ。

「はい、もちろん。」

「それと、このことはもう忘れてください。いわば私は被害者みたいなものなので……できれば私も少しでも早く記憶から消し去りたいんです。」

「え、ええ、もちろん。」

彼女がそう願うのは当然のことだろう。
だが、信二は本音では少しがっかりしていた。せっかく憑依を理解できる女性がいるのに、当の本人がそれを忘れたいなんて……

(話が違うじゃないか。)

服を必死に整える綾乃に背を向けながら、信二は大きくため息をついた。








夜10時。
突然のトラブルが舞い込んだせいで信二は夜遅くまでの残業を余儀なくされた。
オフィスを見渡しても残っているのは自分くらいなもので、たださえ落ち込んでいた信二の気分がさらに沈んでいく。

「はぁ……夢は一瞬だったな……」

すると、オフィスに入るためのオートロックのドアが解錠される音が聞こえた。
そちらの方に目をやると、石原綾乃がそこに立っていた。

「石原さん……?こんな時間にどうしたんです?忘れものですか?」

「い、いえ、それが自分でも分からなくて……なぜかこの時間に戻ってこなきゃいけない気がしたんです。」

当の本人も困惑しているようで、来たはいいもののどうすればいいか分からず不安そうに立ち尽くしている。

「……?とりあえず立ちっぱなしもなんですから、まずはお茶でも飲んで一息ついたらどうですか?」

「え、ええ……そうですね……あひっ!?ひ……ぁ……ふ、ふふふ」

給湯器に向かうとした綾乃がびくん!と肩を震わせて俯くと、両手を持ち上げて唇から隙間風を漏らすように笑った。

「石原さん……?」

「はぁ~♡ただいま綾乃ちゃん、君のカラダ、すっかり気に入っちゃたよ。それと10時間振りですね。片岡さん♪どうでした?昼間の私、すごくえっちだったでしょう?」

綾乃の張り付いたような笑みに信二はすぐに異変の正体に気付いた。

「お前、昼休みの!」

「だいせいか~い!ずいぶん察しがよくなったじゃんか。誰のおかげだろうな?」

にやにやと近づくと、無遠慮に隣のデスクに座って信二の肩に手をまわす。

「大変だなぁ、こんな時間までオシゴトなんてよ。ほら、ご褒美に綾乃ちゃんのおっぱいを当ててやるよ元気出せよ。」

そう言ってぐにっぐにっと彼女の胸をわざとらしく当てる。
幽霊はすっかり自分のもののように綾乃の身体を扱うようになっていた。

「お前、よくもまた出てこれたな。こちとら人生の終わりを覚悟したんだぞ。」

「わりぃわりぃ、あんなに気持ちいいとは思わなくてさ。時間もなかったから一回仕切り直したほうがいいと思ったんだ。ほら、正直に言えよ。顔でわかるぞ。お前、不満なんだろ?」

「……」

「そりゃそうだ。望み通りの女にしてやると宣ったくせに蓋を開けてみりゃちょっと認識を変えられただけ。俺がお前の立場だったらぶち切れてるさ。だからこうして戻ってきたんだ。」

「何のためにだよ。」

答えは分かっている。でも聞かない限りは彼を許せる気がしなった。
それを理解してか綾乃を乗っ取った幽霊は満面の笑みで誇らしげに答えた。

「決まってんだろ。約束を果たすためさ!」

その笑みを見て、信二は中身が別人であるにも関わらず綾乃に心を奪われてしまった。







「それじゃあ、片岡さん。今度こそ私の頭を上書きしちゃいましょうか。」

誰もいない会議室で、裸の男女が抱き合う。
薄暗い空間の中で綾乃の白肌が一層輝いて見えた。
そしてなぜかとうに綾乃のアソコはぐしょぐしょになっていた。

「ふふ、ここ来るまでの間、家で二回、電車で一回、会社のトイレ1回オナニーしてきました。おかげでこのカラダのスイッチはとっくに入っちゃってるんです。あ、もちろんイクたびに頭の中を忘れずに書き換えましたよ?そしてこれが最後の一回。あともう一度このカラダがイケば、『石原綾乃』はあなたのものなります♪楽しみですね、ぐふ、ぐふふ……」

綾乃は信二の身体を撫でまわしながら下品な笑みを浮かべる。
普段の彼女からは想像もつかないような淫らな表情に信二は鼻息を荒げて目の前の肉体を貪る。

「あんっ!そ、そんなにがっつかれると気持ちよくなっちゃうじゃないですか。乳首もとっくにびんびんなのに益々きゅんってなります♪んっ……!んっ……!」

手を口に添えながら小さく喘ぐ綾乃。
もっと鳴かせたいと本能に従う信二を彼女の大きな胸の頂にある突起を口に含んだ。

「あっはああっ!」

面白いくらいに綾乃の背中が持ち上がった。
構わず口の中で突起を転がし、啄み、吸い上げる。

「ん、ん゛ん゛んんっ!そ、それ!やばっ!やっぱ綾乃ちゃん、乳首が弱、あんんんっ!はぁっ、はぁっ、あふんっ!ちょ、ちょっと待てって、喘ぎすぎて、息が、持たな、やっ、やめ、あっ、はっ!あああああ~っ♪」

とろんとした瞳で綾乃は全身を震わせて喘ぎ続ける。
身体中から汗が吹き出し雌の匂いと混ざって何とも言えない淫臭が室内に立ち込める。

「入れるぞ。これでイカせれば石原さんは……」

「はい、私はあなたと同じ、憑依に胸をときめかせ、淫らな気持ちを抱くようになります。自分のカラダさえ持て余して、自分が乗っ取られていいようにされる様を想像してオナニーしてしまう女になります。あなたの、望んだ通りの雌に生まれ変わります。さあ、はやく私を、ひぐうっ!?」

信二は綾乃が言い終わるのを待たなかった。
肉棒を綾乃の秘裂に挿入し、腰を前後させる。
綾乃も最初こそは驚いたものの、すぐに身を快楽に委ねた。

「あっ、あっ!あッ!アッ♪イイですっ、奥に、ずんずん当たって、腰が勝手に動いちゃう……!」

たぷんたぷんと胸を上下させ、綾乃が身悶える。
秘裂からは止めどなく愛液が溢れ、ばちゅんばちゅんといやらしい音を響かせる。

「あっ!ああん!ま、また、心が解れてきました……ッ!これでわたしゅ、わたしの、頭の中が書き換わるの……!あっああッ!もっと!もっとこのカラダを追い詰めて!今までに感じたことのないような気持ちよさで、私をイカせてください!作り変えてください!ああっ♪信二さん!」

「くっ、石原さん、あなたを、僕のものにしたい!」

「ああんっ!そう!それでいいんです!ふ、ふふふ、あなたの欲望を、このカラダにぶつけてください!あん!あっ、ああっ!また、アソコがきゅんって!んああああっ!」

綾乃の肉体を限界まで追い詰めるために激しく繰り返される抽送。
綾乃自身も最高の絶頂を得るため左手では自ら胸を揉みしだき、乳首を摘まみ上げ、右手ではクリトリスを刺激する。
快楽の三転攻めに遭い綾乃の身体は瞬く間に限界まで昂っていった。

「あ…あぁっ…♪いっだめぇっ……イッ…イクゥっ!!!書き換わっちゃう!!イッちゃうぅぅぅあぁぁあああっっ!!!♪」

「くっ!締まるっ!で、出るっ!」

限界を超えた瞬間、ふたりの身体の熱がひとつになった気がした。
信二の男根から綾乃の膣内へと熱いものが放出される。

「あッあッあアァアアアッ!!ア゛ッ!!ンン~~~~~~ッ♡♡」

綾乃の腰が浮く。
そして全身が脈打つ。
1回、2回、3回と全身で信二の欲望を受け止めるように。
新たな自分を受け入れるように。

「あがっ……ア゛ッ…………♡」

小さな、しかし深く淀んだ嬌声とともに、綾乃は糸の切れた人形のようにばたりと崩れ落ちた。
時折手足をぴくぴくと震わせつつも、白目を剥く彼女は人間を辞めたようだった。

(ご馳走様。約束は果たしたぜ。また縁があればどこかで会おうや。)

絶頂の後に抜け出した幽霊が天井からふたりを見下ろしながら別れを告げた。
その表情はどこか名残惜しそうだった。














身体が重い。全身が気怠い。
そんな感覚に襲われながら綾乃は目を覚ました。

「お、おはよう。」

ゆっくりと身体を起こして声をかけてきた信二の顔を見る。
どこか不安そうな表情。
きっと、成功しているか気にしているのだろう。
そんな彼が少し可愛く思えた。
あの憑依霊が、失敗することなんて絶対にないというのに。

「ふ、ふふふ……おはようございます、信二さん。大丈夫、ちゃんと私、今の状況を理解してますから。
そんな不安そうな顔をしなくても私、徹底的に思考をカスタマイズされちゃいましたから♪自分のカラダを見ただけでムラムラしちゃってるんですよ?ほんといやらしいカラダしてますよね、石原綾乃って。」

自分のことなのに他人行儀で言う方がしっくり来る。
これが、自分の心に刻み込まれた性癖なのかと改めて自覚させられる。
もちろん、この上なく嬉しいこととして自分の思考は変えられてしまっている。
そしてそれでいいと思ってしまう自分がいる。
もう二度と戻らない。いや、もう戻らなくていい。
これが新しい自分なんだ。

「ふふ、信二さん。」

「な、なんだい?」

「乗っ取りシチュって最高ですよね。」

にんまりと笑みを浮かべた綾乃は、心の底からそう思った。


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コメント

非公開コメント

こういうのを待ってましたー!

幽霊が良い奴過ぎて最高!
ちゃんと望みを叶えてくれて。
幽霊にとっては、ウインウインかもしれないけど、
何と言っても、綾乃の仕上がりが素晴らしいです!
肉体が無いだけに、憑依して書き換えて女の快楽を
満喫して、次へというシチュエーションが、良いですねー。
再登場、希望します!









No title

pixivで偶然に見たら先生だったよね。
[理想の先生]のときから良く見ています。
人格侵食素材ざん新しました。

いい感じ。でも、この後の展開も読みたかった。

いつも読ませていただいております。
この後の続きが是非読みたいですね

この後の続きが是非読みたいですね222